バンドー通信
平成27年 2月
『高齢者の特徴と食事』について
●介護における食の位置づけ
人間の生活の中でも食は、生命の維持だけではなく人生の楽しみであり、又食事をすると言う事は生きる意欲に繋がると言う事です。
介護における食の位置づけは医療における治療ではなく生き生きとしたその人らしい生活を支える為の基盤となります。
摂食障害ある方には以前より"きざみ食"、
"ペースト食"、"流動食"などありますが、最近では個々の嚥下能力や咀嚼能力に合った、より満足のいく食への工夫が求められています。
食べる人の健康や幸せを実現し、QOL(生活の質)の向上を実現する《おいしく》且つ《安全な》食事づくりが求められています。
●食と脳の関係
- 「おいしい」⇒頭頂葉・側頭葉の境界にある味覚中枢
- おいしそうな匂い⇒大脳辺縁系の嗅覚中枢
- 食べ物を目で見る⇒視覚刺激は後頭葉の視中枢
- 「ごはんですよ」という呼びかけ⇒側頭葉の聴覚中枢
- 「どれから食べようか」「おいしかった。また食べたい」⇒前頭葉を刺激
- 手を伸ばす、口を動かす、飲み込む⇒運動野、感覚野を刺激
口から食べる事によって意識がしっかりし、内臓が目覚めます。
脳全体が活発になる為、運動・感覚をつかさどる部分も活発になり、元気になる事が出来ます。
●加齢に伴う身体機能の変化
高齢になるにつれ身体機能に様々な変化が生じ、うまく食事が摂れなくなる等、食生活にも影響が及びます。
しかし食べる事は大きな楽しみの1つなので、体の変化を正しく理解して状態に合った食事をおいしく食べていただくことが大切です。
- 味覚が衰える→塩味、甘味の間隔が鈍くなり濃い味付けを好む。
- 視覚・聴覚・嗅覚・温覚が衰える→感覚が鈍くなり料理の色合いや香りを感じにくくなり傷んでいる物を食したり、熱いものに気づかずやけどをしてしまったりする。
- 噛む力が衰える→歯の欠損から咀嚼力低下で軟らかな物を選び、食する事で偏食や栄養の偏り、食物繊維不足による便秘の原因になる。
- 飲み込む力が弱くなる→食べ物が喉を通りにくくなり、咽せ、痞えの原因となり食事が嫌になる傾向がある。
- 唾液の分泌量が減少する→口の中で消化がうまくいかず、胃に負担がかかります。
口の中が荒れてしみるようになり、食欲低下になります。 - 消化液の分泌が減少→消化吸収能力が低下し、消化不良や下痢をしやすくなる。
腸の働きも弱くなり食欲不振につながる。 - 喉の渇きが鈍くなる→喉を渇きが感じにくくなり、脱水症状を起こしやすくなる。
バンドーとしての取り組み
食は1つの大きな楽しみであることを念頭に置き、色合いや温かさを工夫するだけではなく、広告チラシなどの情報を基に旬の物を食したり、その日に食べたい物をスタッフと一緒に調理するなど、利用者の方々との関わりを持ちながら食への関心が継続できるよう支援しています。
摂取困難な利用者の方へは食形態を変えて、美味しく召し上がっていただける様に様々な工夫をしております。
刻み食ではなるべく形ある状態で、咽込みがある方へはすぐにトロミ剤を使用するのではなく、片栗粉などで"あん"を作るなど工夫し個々の状態にあった食事の提供で満足感を味わってもらえる様支援しています。
刻み食ではなるべく形ある状態で、咽込みがある方へはすぐにトロミ剤を使用するのではなく、片栗粉などで"あん"を作るなど工夫し個々の状態にあった食事の提供で満足感を味わってもらえる様支援しています。
おいしく食事を召し上がっていただくために食膳に軽い運動、歌やパタカラ体操(「パ、タ、カ、ラ」とはっきり大きく声を出すことで、口を動かす機能を維持し嚥下を促す運動。)を行い食べる機能の維持にもつなげております。